0126 橋本治『生きる歓び』
橋本治 『生きる歓び』 角川文庫
著者自作解説より。
ここには、「生きることに対する積極的な歓び」というようなものはない。九篇に共通するものは、ある種の「あきらめ」である。あきらめの美しさ、あるいはまた、あきらめの静けさというものが、九作品には共通して見られる。あきらめて生きるのではない。「あきらめることを静かに受け入れて、生きる歓びというものは、その後にゆっくり現れるものだ」ということが、こうしたタイトルをつける作者のメッセージであるように思われる。(276)