亀井俊介 『ハックルベリー・フィンは、いま ―アメリカ文化の夢―』 講談社学術文庫
1979年4月から85年6月までの「アメリカのさまざまな時事的問題をとり上げ、その文化的な意味を考察した文章を集めた」エッセイ集。
一部抜粋

アメリカ人たちは荒野を「征服」しようとしてきた。そして物理的にはそれに相当程度成功したのだが、その結果、インディアンが持っていたような自然と調和した生き方を見失うことにもなった。機械に追われ、ビジネスに追われ、デモクラシーという忙しい政治にも追いまくられている。絶えず何かに追われる不安な生。しかもどこへ向けて走っていったらよいのか、よくわからない。